こんにちは、サッカー審判のリョウスケです。
ペナルティーキックって、蹴って入るか外れるかの単純な場面に見えて、実は誰がどう反則したかで結果が変わる。攻撃側が早く入ったのか、守備側か、GKか、キッカー自身か。それぞれで結果も再開方法も変わる。
このパターンを毎回条文で追うのは大変なので、1枚の表にまとめた。スクショして手元に置いておけば、迷ったときに確認できる。
大前提:影響がなければそのまま
表に入る前に、いちばん大事な前提から。侵入や反則があっても、それがプレーに影響していなければ、結果はそのまま。入ればゴール、外せばゴールキックなどで続行する。影響していない反則をわざわざ拾って罰したり、やり直させたりはしない。
だから下の表に載せるのは「影響があったとき」と「特殊なケース」だけ。影響なしの場面は全部「そのまま」に集約してある。
記号の意味
- ○ … 得点(ゴールを認めてキックオフ)
- ⚫️ … やり直し(PKを再び行う)
- △ … 守備側の間接フリーキックで再開
「影響あり/なし」は、侵入した競技者がプレーに関与したかどうかのこと。早く入った選手がはね返りに絡んだら「影響あり」、入っただけで何もしていなければ「影響なし」。判定の前提として、ボールがインプレーになる前(キッカーが蹴る前)の侵入や反則を扱っている。
PKの結果 早見表
ゴールかノーゴールかで結果が変わるもの。
| 影響を与えた側 | ゴール | ノーゴール |
|---|---|---|
| 攻撃側が影響 | ⚫️ | △ |
| 守備側が影響 | ○ | ⚫️ |
| ダブルタッチ(偶発) | ⚫️ | △ |
ゴール・ノーゴールどちらでも結果が同じもの。
| 反則 | 結果 |
|---|---|
| 攻撃側・守備側の両方が影響 | ⚫️ |
| GKのみの反則(セーブ時) | ⚫️+GKに注意・以降警告 |
| GK+キッカーが同時に反則【改正】 | △ |
| ダブルタッチ(意図的)・ボールを後方へ蹴る | △ |
| 不正なフェイント・特定外キッカー・反スポーツ的行為 | △+キッカーに警告 |
記号:○得点(キックオフ)/⚫️やり直し(PK再び)/△守備側の間接FK
表の読み方でつまずきやすいところ
侵入の扱いは「誰が侵入したか(攻撃側だけか、両方か)」ではなく、「影響を与えたのが攻撃側か守備側か」で決まる。攻撃側のみが侵入しても、攻撃側と守備側の両方が侵入して攻撃側だけが影響しても、結果は同じ。だから表では侵入の主体を分けず、影響を与えた側でまとめてある。
もうひとつ。攻撃側が影響を与えてノーゴールだと△(守備側の間接FK)になる。攻撃側の反則として罰して、守備側ボールで再開する。やり直しではない。逆に守備側が影響を与えてノーゴールならやり直し。影響を与えたのがどちらかで、ノーゴール時の扱いがちょうど逆になる。
実際に吹いていて迷ったのはこういう場面だった。守備側の選手がキック前にペナルティーエリアへ侵入して、キッカーは蹴ったけれど枠を外した。すると蹴った側の味方が「今の侵入が影響した、やり直しだ」と抗議してきた。ただ、侵入した選手はキッカーの視野に入っていなかったし、キッカーの近くまで来ていたわけでもない。プレーに関与していないと見て、そのままにした。
守備側の侵入でやり直しになるのは「影響あり」のときだけ。影響していなければ、外したら外したまま、そのまま続行になる。侵入した事実と、その侵入がプレーに影響したかは別もの、という線引き。抗議が出やすいのはまさにこの判断の部分。
「影響あり」と「影響なし」はどこで分かれるか
侵入が罰せられるかどうかは、ボールがインプレーになったあと、その選手が何をしたかで決まる。早く入っただけなら罰しない。入ったうえでプレーに絡んだときに罰する。第14条はこの線引きを、攻撃側と守備側で別々の文言で定めている。
攻撃側の味方が侵入したときに罰せられるのは、次のどちらか。ひとつは、その侵入がGKに明らかに影響したとき。もうひとつは、侵入した選手がボールをプレーする、または相手とボールを争い、そのうえで得点する、得点しようとする、得点の機会を作り出したとき。キッカーのシュートがポストやGKにはね返って、早く入っていた味方がそれを押し込んだ、というのが典型。
守備側の侵入も構造は同じで、向きが逆になる。罰せられるのは、その侵入がキッカーに明らかに影響したとき、または侵入した選手がボールをプレーする、相手とボールを争い、それによって相手の得点、得点しようとする動き、得点の機会を妨げたとき。はね返ったこぼれ球を、早く入っていた守備側の選手がクリアしたケースがこれにあたる。
間違えやすいのは、守備側がボールに触れさえすれば影響あり、という読み方。条文はそうは書いていない。ボールをプレーしたうえで、それが相手の得点や得点の機会を妨げた、という結びつきまで求めている。誰も詰めていないこぼれ球を念のためクリアしただけで、もともと得点の機会になっていなかったなら、影響ありとは扱わない。
影響なしは、早く入った事実だけがあって、その後のプレーに関与しないケース。はね返りに反応していない、こぼれ球に触れていない、キッカーやGKの動きにも絡んでいない。この場合は侵入があっても結果はそのまま。入ればゴール、外せば続行になる。さきほど書いた守備側の侵入の場面も、この影響なしにあたる。
2026/27で変わった2か所
この表の中で、2026/27シーズンの改正で実際に変わったのは2か所だけ。残りは以前からあるルール。
ひとつは、GKとキッカーが同時に反則したケース。以前はキッカーに自動的に警告が出ていたけれど、この警告が削除された。再開は守備側の間接フリーキックのままで、カードはなし。
もうひとつは、キッカーのダブルタッチ。偶発的なものと意図的なものを区別する扱いが、IFAB回状31号で明確化され、本文に取り込まれた。偶発的でゴールならやり直し、ノーゴールなら間接フリーキック。意図的なら間接フリーキック。
ダブルタッチの改正については別の記事で詳しく書いた。
→ 【2025年IFAB改正】PKダブルタッチの新ルール完全ガイド|アルバレスの事例で学ぶ「偶発」と「意図」
逆引きまとめ|結果からたどる
「やり直しになるのはどんな時だっけ」と結果の方から確認したいとき用に、もう1枚。
| 結果 | こうなるケース |
|---|---|
| ○ 得点 | ・守備側が影響を与えてゴール |
| ⚫️ やり直し | ・攻撃側が影響を与えてゴール ・守備側が影響を与えてノーゴール ・両方が影響を与えた(ゴール/ノーゴールとも) ・ダブルタッチ(偶発)でゴール ・GKのみの反則でセーブされた(+GKに注意) |
| △ 守備側の間接FK | ・攻撃側が影響を与えてノーゴール ・ダブルタッチ(偶発でノーゴール/意図的) ・ボールを後方へ蹴る ・GK+キッカー同時反則【改正・警告なし】 ・不正なフェイント(+警告) ・特定外キッカー(+警告) ・キッカーの反スポーツ的行為(+警告) |
出典
- IFAB Laws of the Game 2026/27(第14条 ペナルティーキック、変更点文書)
- JFA サッカー競技規則 2026/27 添付1「変更の概要と詳細」(2026年5月28日)
- IFAB回状第31号(ダブルタッチの明確化)
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サッカー審判のリョウスケ
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