【J1 2025全集計】警告ランキング1位はラフプレー|全20クラブのデータを審判が分析

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J1で一番出てるイエローの理由、当ててみてください

ピッチで笛を吹いていると、シーズンを通じて「今日もこの種類のファウルでカード切ったな」という感覚が積み重なっていきます。私の感覚だと、明確に上位2つが「ラフプレー」と「反スポーツ的行為」で、3位以下と大きく差がつく。

これ、実際にデータで裏が取れるんだろうか。

そう思って、JリーグのData Site(出場記録ページ)を全20クラブ分回って、警告コード別に集計してみました。J1 2025シーズン、全38節380試合、計951枚の警告。理由別にきれいに分類されたデータが手元に揃ったので、審判としての実感と照らし合わせていきます。

「異議が一番多そう」「ハンドが上位」と思っている人は、たぶん少しだけズレています。

前提|JFAの警告コードは8種類

まず日本サッカー協会の警告分類を整理しておきます。Jリーグの公式記録ではこの8コードで集計されています。

コード 内容
C1 反スポーツ的行為
C2 ラフプレー
C3 異議
C4 繰り返しの違反
C5 遅延行為
C6 距離不足(FK・CK・スローイン等で規定の距離を取らない)
C7 主審の承認なしのフィールドへの進入・復帰
C8 主審の承認なしのフィールドからの離脱

ここで一つ注意点があります。JFAのコードでは「ラフプレー(C2)」と「反スポーツ的行為(C1)」が別カテゴリに分かれています。世界基準のIFAB(国際サッカー評議会)の Laws of the Game では、ラフプレーは “Unsporting behaviour” の中に内包される扱いなので、世界統計と日本統計を直接比べるとここで数字がずれます。

そして、実は「ハンドリングの反則」という独立カテゴリは存在しません。意図的なハンドで警告が出た場合、それは反スポーツ的行為(C1)かラフプレー(C2)のどちらかに振り分けられます。

この前提を頭に入れた上で、集計結果を見てください。

J1 2025|警告ランキング全結果

J1全20クラブの警告コード別集計を、Data Siteから1チームずつ取得して合算しました。

順位 反則 件数 全体に占める割合
1位 C2 ラフプレー 416件 43.7%
2位 C1 反スポーツ的行為 362件 38.1%
3位 C5 遅延行為 75件 7.9%
4位 C3 異議 74件 7.8%
5位 C4 繰り返しの違反 24件 2.5%
6位 C6 距離不足 0件 0%
7位 C7 無断進入 0件 0%
8位 C8 無断離脱 0件 0%
合計 951件 100%

ここから読み取れることが3つあります。

① 1位はラフプレー、ダブルスコアに近い差で反スポを上回る

私の実感では「反スポと同じくらい」だったのですが、実際にはC2(ラフプレー)の416件がC1(反スポ)の362件を54件上回っています。1試合あたり0.14枚の差。これは大きい。

ラフプレーは「過剰な力や危険を伴うチャレンジ」、反スポは「シャツを引っ張る、戦術ファウル、シミュレーションなど競技の精神に反する行為」。両者の境界線は審判の試合中の判断に委ねられる部分も多いのですが、Jリーグ全体としては「身体的なチャレンジが過剰」と判定される頻度の方が高い、ということになります。

② 異議は4位、74件に留まる

「日本人選手は異議が少ない」は世界比較データでも示されている通りで、J1全体でも74件。1試合あたりわずか0.19枚です。前回のJリーグ規律性世界一の記事で書いた「日本サッカーはマナー違反系のカードが極端に少ない」という傾向の、さらに細かい裏付けになる数字です。

③ 距離不足(C6)と無断進退(C7・C8)はゼロ

これは実際にデータを取ってみて驚きました。380試合通じて1枚も出ていない。

距離不足は「FKやCKで9.15mを取らない」「スローインで2m以内に近づく」など、選手側の意図ではなく不慣れや勢いで起こりやすい違反です。これがJ1ではゼロ。プロレベルになると、単純なポジション違反は警告まで至らずに口頭指示で収まる、ということでしょう。

無断進退(C7・C8)も同様に、プロは退場後の交代や治療で勝手にピッチを出入りしないし、ベンチワークも整っているので、構造的に発生しにくい反則です。

チーム別|どのクラブがどの傾向か

参考までに、20クラブのC1〜C5の内訳を順位別に並べます。

クラブ 警告合計 C1反スポ C2ラフ C3異議 C4繰返 C5遅延
横浜F・マリノス 70 22 33 6 2 7
京都サンガF.C. 63 19 32 3 2 7
アビスパ福岡 55 21 24 5 1 4
FC東京 54 19 23 7 3 2
鹿島アントラーズ 52 19 21 6 3 3
東京ヴェルディ 51 16 32 1 1 1
FC町田ゼルビア 51 19 27 1 1 3
川崎フロンターレ 50 20 21 4 1 4
横浜FC 50 24 16 4 0 6
清水エスパルス 48 19 21 3 2 3
名古屋グランパス 47 16 25 1 1 4
柏レイソル 45 17 21 3 1 3
湘南ベルマーレ 45 16 22 3 0 4
セレッソ大阪 43 14 16 3 1 9
ファジアーノ岡山 42 18 16 5 1 2
ガンバ大阪 41 18 13 4 2 4
アルビレックス新潟 40 22 13 2 1 2
浦和レッズ 36 17 11 2 0 6
サンフレッチェ広島 36 14 16 6 0 0
ヴィッセル神戸 32 12 13 5 1 1

見比べていくつか気づくことがあります。

横浜F・マリノス・京都サンガF.C.・東京ヴェルディの3クラブのC2(ラフプレー)が32〜33件と他クラブから頭ひとつ抜けていること。対照的に、ヴィッセル神戸はC2が13件と全20クラブで最少クラスで、警告総数も32件と最も少ない。シーズン通じてのチーム規律という点では、神戸が最も穏やかだったクラブと言えます。

C5(遅延行為)でC大阪の9件がリーグ最多。1位を守るための時間稼ぎなのか、ボール戻しが遅い癖があるのか、ここはチームの戦い方が出やすいコードかもしれません。

集計の方法と限界

率直に書いておきます。今回のデータはJリーグ Data Siteのチーム別「出場記録(警告・退場・出場停止)」ページを20クラブ分すべて開いて、画面上部の集計値(C1〜C8)を1つずつ手動で確認して合算したものです。

各チームの個別ページは team_id をURLパラメータで切り替えて取得します。鹿島がteam_id=1、町田が45、新潟が78、というふうにIDが連続していないので、20クラブを揃えるのは少し手間がかかります。

集計の限界として知っておいてほしいのは:

  • 退場(S1〜S6)と警告2回退場(CS)は別カウントで、本記事の951件には含まれません
  • 天皇杯・ルヴァンカップ・ACLEは含まれない、純粋にJ1リーグ戦のみ
  • 1試合の中で同じ選手が同じコードで2回警告→退場するケースは、警告は2件として加算されています

データソースは2025/12/06更新時点のJリーグ公式記録なので、シーズン終了直後の確定値です。

審判としての感覚とデータの照らし合わせ

最後に、私が実際に笛を吹いてきた感覚と、このデータが一致するところとズレるところを率直に書きます。

一致したこと

  • C5(遅延)が3位に来るのは納得。プロレベルだと時間稼ぎの巧みさが警告に繋がりやすい
  • C3(異議)が4位で約8%に留まるのは、自分の試合でも実感がある。日本の選手は本当に異議が少ない

ズレていたこと

  • C2(ラフプレー)がC1(反スポ)をダブルスコア近くで上回っていたのは予想外。私はもっと拮抗していると思っていた
  • C6(距離不足)がゼロは、私が担当する試合(高校年代)だと普通に出る反則なので、プロとアマチュアの一番大きな差はここかもしれない

カテゴリーが上がるほど「身体的なファウルはあっても、戦術上の細かい違反は減る」という傾向が、このデータからきれいに読み取れます。

来季もこのデータは追っていきたいテーマです。秋春制への移行を控えて、警告分布がどう変化するのか。観察を続けます。


公式記録・参考資料

本記事のデータは以下の出典に基づいています。

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